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迎二十年の記

 表現学会は、昭和58年で20年目を迎えました。思えば、昭和38年12月1日、名古屋で発起人会を開き、会則を協議してそれを可決、そのままそれを創立総会として、学会が発足しました。その間の事情は、この雑誌『表現研究』創刊号にくわしく書かれています。
 ところで、このページに今までは「入会のすすめ」を再録して、その解説を掲げていましたが、その段階は、もうとっくに終了していると思われますので、それを止めます。その代り、その期間中に学会が視野に入れていた学問の対象分野について触れておきたいと思います。もちろんそのためには、『表現研究』全号に載る論文の内容を検討すれば万全なのですが、それをしないでも、思いのほかに明瞭となるのは、昭和51年5月に刊行された『表現学論考』の目次です。それは十の柱から成り立っています。多くの会員は、それを分担し合う意味で、執筆しました。この目次に表現学全体の射程が、視野が反映しているとみていいでしょう。それは次の通りです。

  1. 言語―表現の基底としての言語の論
  2. 視点―表現の機能としての視点の論
  3. 文芸―表現の味わいとしての文芸の論
  4. 認識―認識の型としての表現の論
  5. 意味―表現のささえとしての意味の論
  6. 文章表現法―文章の構造と叙述方法の論
  7. 文体―文章のすがたとしての文体の論
  8. 解釈―文章過程の再構成としての解釈の論
  9. 文章史―文章の成立の史的考察およびその方法の論
  10. 文章論史―表現についての論説の史的考察およびその方法の論

ここの表現とは、いわゆる expression をさすだけでなく、formation も含めていると思ってください。
なお、上記の項目とクロスさせて、次のようなテーマも、頭脳の隅のどこかに引っ掛けておいてよいのではありますまいか。

  1. なぜ文章は終わるか
  2. なぜ文章は積みかさねうるか
  3. 何が文章を作らせるか
  4. 何が文章のしくみにはたらくか
  5. どういう表現過程をとるか
  6. どこに文芸は成立するか
など。もちろん、ここにいう文章とは、それ自体で独立している全体のことで、たんなる文の集合をさすのではありません。
 この記事は、当分の間、「入会のすすめ」のときと同様に、毎号ここに転載しておきたいと思います。ご了承下さい。

昭和58年3月 

ページ管理人注記
 機関誌「表現研究」の表紙裏のページ に掲載されている文章です

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