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入会のすすめ

 わたくしたちは,つねづね,ことばによる表現の微妙なはたらきに感動し,それにひきつけられ,その醍醐味を味わっています。けれども,なぜそうなのだろうかという反省は,必ずしも徹底してはいませんでした。従来は多分にその体験を個個の表現効果の分析で解明しようとしていました。表現全体の問題として,それを考察の対象にするような動きは,あまりみられなかったように思います。ところが,ここ数年来,表現の問題は深くほりさげられるようになりました。表現を考察する機運が熟してきたのだと,判断することができましょう。そこでわたくしたちは,さらに一歩をすすめて,表現学の樹立をめざして学会を設立しました。表現の機構を体系づけ,表現の理論を確立する学問を,みんなの協力によってきりひらこうとするのが目的です。語学的な考えの方も,文芸学的な考えの方も,哲学的な考えの方も,心理学的な考えの方も,それから外国語畑の方も,ともに参加していただきたいと考えております。いろいろの分野からの検討が必要だからです。このさい,あなたもこの学会にご入会くださいませんか。会則および現在の会員名簿を別紙として添えました。よろしく。

   昭和39年2月
表 現 学 会
 
代表理事  真下三郎   

 これは表現学会の発足当時,入会をすすめる目的で,各方面に配布したものの写しです。学会設立の趣旨が述べてあり,これでわたくしたちの意図は十分に伝え得るものと確信しますから,毎号,これだけは転載しておきたいと考えています。それに,この文章は,ひとりの手になったものではありません。原案を,発起人全部が目を通して,それぞれに意見をのべ,修正を加えて,できあがったものだから,なおさら大事です。「初心忘るベからず」の意味においても,つねにこれをふりかえることは,有意義だろうと思います。
 もちろん,だからといって,この文章が,入会のすすめの役割を,現在,放棄しているわけではありません。わたくしたち会員は,この趣旨をおし進めてゆく義務と責任をもっています。それは「重い荷持」です。それ故,この文章を,その重責に対し,つねに自己反省する資料となすわけですが,それは内部のこと,もしも外部のかたで,この趣旨にご賛成なら,この事業にご参加くださることを希望します。各方面のかたがたのご協力が必要だからです。このことは将来においても,かわりません。よろしく。


ページ管理人注記
 創刊号から昭和58年に20周年を迎えるまで、機関誌「表現研究」の表紙裏のページに掲載されていた文章です

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